普天間飛行場の米軍機による騒音問題・被害
米軍機の住宅地上空飛行形態
宜野湾市では、2006年9月に普天間飛行場を管理・運営する太平洋軍海兵隊司令官グッドマン中将に対して、普天間飛行場の運用について質問状を送っており、そして、同年12月にその回答を受けています。
それによると「普天間飛行場のヘリパターンからのアプローチや離陸ルートは可能な場合は、学校や文化施設の上空を避けるように特別に設定されている。」「パイロットは可能な場合はいつでも学校、病院、文化施設の上空を避けるように飛んでいる。」としています。ここで、気になるのは、「可能な場合は」という表現です。飛行ルートを見てもわかるように、普天間飛行場周辺はどこも人口過密地帯であるため、「可能な場合」というのはないように思われます。
【↑画像クリックで拡大】 宜野湾市からお借りしました
また、普天間飛行場における航空機騒音規制措置3.措置a項においては、「進入及び出発経路を含む人口密度の高い地域上空を避けるよう設定する。」とされています。
しかしながら、実態としては、普天間飛行場の米軍機は宜野湾市内住宅地・学校・病院・の上空を頻繁に低空で飛行しており、グッドマン中将による回答や飛行機騒音規制措置が全く守られていない状況です。
普天間飛行場周辺における騒音発生問題
普天間飛行場における騒音発生回数は、1996年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)の日米合意以降、2003年度までに約1.5倍まで増加していています。2004年の普天間飛行場の所属部隊のイラク派遣等によって少しは減少したものの、依然として年間2万回を越える騒音が発生しています。
【↓画像クリックで拡大】 データは『宜野湾市と基地(2009年)』 宜野湾市 より
2007年度における時間帯別騒音発生回数からは、普天間飛行場の航空機騒音規制措置で飛行制限されている22時から翌朝6時の間においても騒音が確認されています。
宜野湾市の基地被害110番に寄せられる市民の苦情内容
2003年度から、宜野湾市に設置されている「基地被害110番」へ寄せられる市民の声は、2004年度に限っては沖縄国際大学ヘリ墜落事故による1週間の米軍飛行自粛があったこと、その後のイラク派遣によるヘリ部隊の不在を理由に苦情件数は少なくなっていますが、それ以外の年度において下表のように年々増加傾向にあります。
苦情内容も単なる騒音苦情ではなく、精神的・心理的に墜落の恐怖に圧迫された内容になっています。
●戦闘機騒音に関する苦情
●ヘリ騒音に関する苦情
●夜間騒音(22:00~06:00)に関する苦情
●墜落不安の訴え
●騒音等による赤ちゃん、用事の不眠に関する苦情
●騒音ストレスによる体調不良の訴え
●その他の苦情
「基地被害110番」に寄せられている住民の声です。
普天間基地爆音訴訟
普天間飛行場周辺の周辺住民約400名が、ヘリコプター部隊を中心とした米軍機の騒音で健康を害したとして、国に対して、夜間・早朝の飛行差し止めと1人当たり100万円の慰謝料、将来にわたる損害賠償を求めた「普天間爆音訴訟」において、2008年6月26日の普天間爆音訴訟地裁判決において、国の主張する「危険への接近」の法理が退けられ、判決では、爆音による生活妨害や睡眠妨害に伴う精神的被害を認め、「普天間飛行場の設置、管理に瑕疵(かし)がある」として、国に計1億4,672万円余の損害賠償を命じました。